今日のテーマは「通る声の条件を決める聴覚の話」です。会話には話し手と聞き手がいるわけですが、今までは主に発声法、つまり話し手の技術に関するテーマが多かったと思います。今回は聞き手側が声を聴くときのメカニズムについてお話したいと思います。通る声というのは共鳴を集めることによって「倍音」が豊富に含まれている声のことです。どのような周波数、倍音が含まれていると声が聞こえやすくなるのか、またそのような声を出すにはどうすれば良いのかについてしっかりと学んでいきましょう。
人間の可聴周波数(聴こえる範囲)はおおよそ20Hzから20000Hzです。これは年齢によって特に高周波数帯が聞こえづらくなるという特徴があります。そして、周波数帯によっても聞こえやすさは変わります。人間は2000~4000Hzあたりが最もよく聞こえます。同じエネルギーでも、4000Hz付近の音に対しては非常に敏感に聴覚が反応するようにできています。もちろん、直接的にこの周波数の声を出すことはできませんが、倍音を意識することで4000Hz付近に厚みを持たせることができるのです。聴覚のメカニズムを知り、共鳴発声法のトレーニングに役立てていきましょう。
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